基調講演
「新販売制度の現状と将来」
やまもと ふみ山本 史 氏
厚生労働省医薬食品局総務課 薬事企画官 新販売制度は一般用医薬品の販売に関し、リスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提供がなされる、実効性ある制度の構築を主なねらいとしています。
すなわち、今回の改正の理念とは、セルフメディケーションを支援する観点から、安全性の確保を前提とし、利便性にも配慮しつつ、国民による医薬品の適切な選択、適正な使用に資するよう、薬局、薬店等において、専門家による相談応需及びリスクの程度に応じた情報提供等が行われる体制を整備するというものになると考えられます。
新たな医薬品販売制度が目指すものとは、患者への適切な情報提供、相談応需を基にした、一般用医薬品の「適切な選択」と「適正な使用」というものを現場において実現していこうということです。
一般用医薬品市場の育成には国民の選択の幅が広がることからもスイッチOTCの積極的な推進が必要です。
一方、一般用医薬品の外箱に「副作用被害救済制度」が表示されるなど、様々な情報発信を行うこととされています。
平成22年1月~3月上旬に行った改正薬事法による新たな販売制度の定着状況の調査では薬局・店舗における情報提供等の状況が示されています。引き続き調査を実施し、継続的に現場の実態把握を行い、制度の定着を促してまいる予定です。
セルフメディケーションをすすめるには、制度を作るだけでは意味がなく、現場での実践が不可欠です。たとえば、スイッチOTCを増やそうとしても、一般消費者が安心・安全に使用していただけるような受け皿がなければ活用することができません。
OTCを求めて薬局・薬店を訪れる消費者は老若男女、バックグラウンドや症状等の多様です。さらに、同一人でも、時・場所によって、来局・来店時の状況・ニーズが違います。
OTCの提供に携わる専門家はモノ(医薬品)のリスクごとの(一律的な)対応だけではなく、来局・来店する消費者一人一人の状況を踏まえ、助言(情報発信)していくことが期待されています。
最後になりますが、先ほど申し上げましたように、皆様のご協力をいただきながら、現場での医薬品の「適切な選択」と「適正な使用」ということに結びつくような取り組みを厚生労働省としても続けてまいりたいと思っています。
ご静聴ありがとうございました。