パネルディスカッション
「地域包括ケアシステムにおけるセルフメディケーションの担う役割」
テーマ説明
超高齢社会の到来にともない、地域ぐるみで健康寿命の延伸をめざす地域包括ケアシステム。その中心に位置づけられている健康サポート薬局は、地域のセルフメディケーションを支援すると共に、認知症対策・介護・看取りを含む高齢者サポートにも積極的に関わります。この制度の定着に不可欠なことは、地域の健康サービスに関わるすべの専門家が経験と知恵を持ち寄り、協働の基盤をつくることです。その意味で、行政・医師・報道・薬局・ドラッグストア・大学(薬学部)によるこのパネルディスカッションは、まさに多職種協働のシミュレーションともいえる興味深い場となりました。
総括
今回は、「地域包括ケアシステム」の概念を、高齢者支援から生活者全体へと拡張してディスカッションを進めました。
店頭での相談対応の際、その症状から器質的な疾患が疑われるときは薬剤師からの受診勧奨が重要である、ということについて胃腸症状を例に説明がありました。さらに地域の生活者について、薬剤師などが健康増進とセルフメディケーション支援を行うためには、地域の医療連携を通して継続的に生活者を見守ってゆく必要があることが指摘されました。
こうした活動を推進するために、ドラッグストア・薬局には地域の医療連携のハブとして機能することが求められること、そして薬剤師などには知識とコミュニケーション力の養成、薬剤師職能の「見える化」、地域によって異なる様々なニーズの把握、そして医療連携を行い得る人材の育成などが必要であることが話し合われました。
薬剤師などが、今後どのように健康支援・セルフメディケーション支援を展開し社会に貢献してゆくか、といった観点で講演内容をお読みいただければ幸甚です。
東京薬科大学 教授 渡辺 謹三 氏
パネルディスカッションの様子
参加者
【座長】
渡辺 謹三 氏 東京薬科大学 教授
【パネリスト】
木下 芳一 氏 島根大学医学部 内科学講座第二 教授
紀平 哲也 氏 厚生労働省 医薬・生活衛生局 総務課
薬事企画官
河野 紀子 氏 日経ドラッグインフォメーション 編集記者
杉浦 昭子 氏 スギホールディングス株式会社
代表取締役副社長
立石 正登 氏 長崎国際大学薬学部 薬学科 教授