パネルディスカッション
[生活者・患者さんから必要とされる薬局薬剤師のあり方]
~国民のヘルスリテラシーの向上に果たす薬剤師の役割~
テーマ説明
コロナ禍が3年目に入った今、インフルエンザの同時流行に備え、解熱剤や検査キットをネットで購入する人が増えています。そのような中、国民一人ひとりに求められているのが、オンライン上にあふれる情報を正しく取捨してセルフメディケーションに活かすことができるスキル「ヘルスリテラシー」です。
その「ヘルスリテラシー」の向上に大きな役割を果たしていくのが、専門家である薬局・薬店の薬剤師であり、日本でもアメリカのように「まずは薬剤師に聞く」という文化の醸成が求められています。
本ディスカッションは「セルフメディケーションの革新」をテーマに、大学、ドラッグストア、メディア、薬剤師と、各分野の専門家に話し合っていただき、コロナ収束後を見据えた新たなセルフメディケーションのビジョンを描いていただきます。
総括
まず五味先生には全身の疾患につながる歯周病の怖さとともに、洗口液、歯間ブラシ、口腔内環境チェックなど、薬局で購入・提供できるものをうまく組み合わせることで
正しく予防できること、また諸外国に比べて日本は口腔衛生の後進国であり、口腔衛生の底上げが将来の医療費削減につながることを教えていただきました。
河野さんからは、コロナ禍の3年間で薬局・薬店に生じた変化としてコロナ禍でOTC販売は増えたこと、これに留まらずに薬局はその先のステップを考えていくことが大事
であることを、数多くの取材を背景にお示しいただきました。
池野会長からは、特に過疎の地域に対してドラッグストアがどこまで貢献できるのか、その可能性について、実施されている具体的な取り組みをご紹介いただきました。特にアプリの導入や食と医療を包括したアプローチは、過疎地域でも高齢者が豊かに暮らせる重要なヒントとなります。
林先生からは、福岡のコロナ療養施設においてOTC医薬品が重要な役割を果たしたこと、そして流行した次期ごとの使用量の推移分析によりウイルスの特徴を捉えることができ、今後のデータとして有効であることを教えていただきました。また薬剤師から顧客へのアプローチの一つとして、アバターの活用という示唆的なお話もいただきました。
「健康維持増進と疾病予防のファーストコンタクトは薬剤師に」。この文化をつくり上げるためには、薬剤師が待ちの姿勢ではなく積極的に消費者にアプローチし、ヘルスリテラシーを高める役割を果たしていかなければなりません。パネラーの皆様も共通してこの必要性を説かれていました。コロナ禍を転機にセルフメディケーションがさらなる革新を遂げていくことを確認し合い、ディスカッションを終了いたしました。
慶應義塾大学薬学部 医療薬学・
社会連携センター 教授 山浦 克典 氏
パネルディスカッションの様子
参加者
【座 長】
山浦 克典 氏 慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 教授
【パネリスト】
五味 一博 氏 鶴見大学歯学部 歯周病学講座 教授
河野 紀子 氏 日経ドラッグインフォメーション編集 副編集長
池野 隆光 氏 ウエルシアホールディングス株式会社 代表取締役会長
林 稔展 氏 福岡大学薬学部 臨床薬学教室 准教授