令和7年10月3日
公益財団法人 一般用医薬品セルフメディケーション振興財団
2025年度 一般用医薬品セルフメディケーション
シンポジウム 開催のお知らせ
当日はオンライン同時配信にて開催致しました
令和7年10月3日(金) 帝国ホテル(東京都千代田区)において「第20回一般用医薬品セルフメディケーションシンポジウム」が、助成目録授与式を兼ねて開催されました。本年のシンポジウムも昨年にひきつづき、会場には講演者、助成者代表、および主宰関係者のみとし、参加者の皆様にはオンライン同時配信にてご視聴いただきました。
シンポジウムは例年通り、佐藤誠一理事長のあいさつで幕を開け、本年度の助成対象に決定した25テーマの紹介とともに、「調査・研究助成」「啓発事業等助成」それぞれの代表者へ目録が授与されました。
その後、京都大学大学院 医学研究科 皮膚科学 教授 医学博士 椛島 健治 氏による基調講演「アトピー性皮膚炎の病態解明と創薬開発・セルフメディケーション」が行われました。
続いて、メディア、ドラッグストア、アカデミア、それぞれの立場から3名の講演が行われ、引きつづき「適切なセルフメディケーションの推進 ~一般用医薬品の更なる活用~」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
ディスカッションでは各分野における取り組みが紹介され、専門家の役割や情報提供のあり方などについて話し合われました。さまざまな視点で意見交換が行われたディスカッション終了後、座長を務めた慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 教授 山浦 克典 氏の総括をもってシンポジウムは閉幕いたしました。
先日、昨年度の国民医療費が発表されましたが、約48兆円と財団の設立当時から1.5倍に増大しており、一人当たりの医療費も約38.8万円まで増えております。一方で、これを支える生産年齢人口は約1,000万人減少しており、社会保障制度を維持するためにも関連団体とも連携し、セルフメディケーションの推進をさらに加速していく必要性を感じております。
セルフケア・セルフメディケーションを推進するために、OTC医薬品のデータベースを活用したセルフメディケーション・プラットフォームを整備することが重要であると考えております。この仕組みにより、OTC医薬品の適切な情報提供や、スイッチOTC医薬品の活用促進、セルフメディケーション税制の利用促進、さらに生活者のヘルスリテラシーの向上が進むと考えられます。
これらを実現するためには、医師・薬剤師・関連団体・行政が連携し、生活者に対して適切なサポートを行うことが必要であると考えます。当財団としても、さまざまな研究の助成等を通じて適正なセルフメディケーションの推進や、それを担う薬剤師の育成に寄与していきたいと考えております。
当公益財団では、国民の健康で快適な生活の実現に向けて、、さまざまな調査研究や啓発事業への助成を通じ、セルフケア・セルフメディケーションの定着を目指してまいります。

理事長挨拶
シンポジウム会場の様子
パネルディスカッションの様子
令和7年度助成対象者一覧
調査・研究
順不同・敬称略
| 氏名 | 所属機関名 | 職名 | 研究テーマ |
|---|---|---|---|
| まきた たかし 槇田 崇志 |
岡山大学病院 薬剤部 | 副薬剤部長 | セルフメディケーションに特化した電子患者報告アウトカムアプリの開発 |
| せきね ゆうこ 関根 祐子 |
千葉大学大学院 薬学研究院 | 教授 | とろみ調整剤を使用した服薬が睡眠導入剤の効果に与える影響に関する研究 |
| まきの としあき 牧野 利明 |
名古屋市立大学大学院 薬学研究科医療機能薬学専攻生薬学分野 | 教授 | 甘草含有医薬品による偽アルドステロン症発症を事前に回避のための検査キットの開発 |
| みずの ただはや 水野 忠快 |
国立大学法人 東京大学大学院 薬学系研究科 | 助教 | 言語AIによるOTC医薬品の安全性情報抽出とリスク数値化 |
| せき てつや 関 徹也 |
一般社団法人 上田薬剤師会 | 副会長 | 薬局での受診勧奨およびフォローアップの質的向上のための地域連携フォーマットに関する研究 |
| そめや ゆき 染谷 由希 |
順天堂大学 スポーツ健康科学部 | 准教授 | マラソン競技中の鎮痛剤の使用実態と予防使用に関連する因子の検討 |
| さかもと ゆうこ 坂本 優子 |
順天堂大学 医学部附属練馬病院整形外科 | 准教授 | 「正しい情報」が導くセルフメディケーション:妊婦・若年層のボーンヘルス支援の実装 |
| たなか しんじ 田中 真司 |
東京大学 医学部附属病院腎臓・内分泌内科 | 助教 | 消化管−神経−免疫連関を標的とした慢性腎臓病に対する一般用医薬品の開発 |
| みずたに たけとし 水谷 壮利 |
国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 エイズ研究センター | 主任研究官 | COVID-19 後遺症の病態診断と治療を目指した腸内細菌由来の細胞外小胞の活用 |
| なべ たけし 奈邉 健 |
摂南大学 薬学部薬効薬理学研究室 | 教授 | 食事由来アリルハイドロカーボン受容体(AhR)リガンドによるステロイド抵抗性アレルギー改善作用 |
| いかり あきら 五十里 彰 |
岐阜薬科大学 生化学研究室 | 副学長 教授 | 老人性乾皮症のセルフメディケーションに向けたマグネシウム吸収促進食品の探索 |
| やまだ こうへい 山田 幸平 |
静岡県立大学 薬学部 薬剤学分野 | 助教 | User friendly な点鼻型OTC 睡眠薬の開発 |
| おかだ こうたろう 岡田 康太郎 |
富山大学 学術研究部薬学・和漢系製剤設計学研究室 | 特命准教授 | NMR とデータサイエンスで探る3D プリンター錠剤の放出制御基盤 |
| いがらし ゆうき 五十嵐 裕貴 |
慶應義塾大学 薬学部 薬効解析学講座 | 助教 | MA-T技術を活用した新規消毒剤の開発研究 |
| たかはし ひでと 高橋 秀人 |
帝京平成大学 薬学部 | 教授 | 薬学部学生との地域住民交流によるセルフメディケーション意識向上の評価に関する研究 |
| てぃえん ゆいしー 田 雨時 |
大阪大学大学院 薬学研究科 | 助教 | AI技術を活用したセルフメディケーション支援ツールの開発と評価 |
| たじま やすひさ 田島 靖久 |
公益財団法人 浜松市医療公社 浜松医療センター 感染症内科 | 部長 | セルフ検査活用のインフルエンザ遠隔診療評価研究 |
| ほりうち まさこ 堀内 正子 |
星薬科大学 生物制御科学研究室 | 助教 | 現場から見えてくる「薬のゲートキーパー」の役割と課題~オーバードーズ防止に向けて |
| かとう ひさゆき 加藤 久幸 |
公益社団法人 大和綾瀬薬剤師会 | 会長 | セルフケア、セルフメディケーション推進のための評価項目の設定と調査 |
| かわの すすむ 河野 奨 |
就実大学 薬学部社会薬学研究室 | 講師 | スマートフォンを活用した、くすり実験教室用教材の開発 |
| さえき いさむ 佐伯 勇 |
広島大学病院 小児外科 | 講師 | 小児・AYA世代がん患者のためのフォローアップアプリ製作 |
| さとう いずみ 佐藤 いずみ |
東京医療保健大学大学院 看護研究科 母性看護学・助産学 | 准教授 | プレコンセプションケアを教育として介入するデジタルコンテンツの開発と評価 |
啓発事業等
順不同・敬称略
| 氏名 | 所属機関名 | 職名 | 研究テーマ |
|---|---|---|---|
| なかた まりこ 仲田 真理子 |
筑波大学 人間系 | 助教 | 「発達障害の当事者とまわりの人のための薬はじめてガイド」医療者・支援者を対象とした広報活動 |
| つじ だいき 辻 大樹 |
静岡県立大学 薬学部臨床薬剤学分野 | 教授 | 薬とのつきあい方を学ぶスポーツ薬学教育プログラム 〜遊びと体験で伝えるOD対策〜 |
| くらた かおり 倉田 香織 |
東京薬科大学 薬学部 総合学修・教育センター | 助教 | 「くすりを使う時の12の約束」の副読本(やさしい日本語版等)の開発 |